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アートは敷居が高いように感じる人もいるかもしれませんが、実は身近なものなのです。
今回、独占インタビューを受けていただいたのは、TOMIOKOYAMA GALLERYに所属するアーティストの佐藤翠さんです。
ミレポルテmeetsアート
アーティストインタビュー Vol.2
佐藤翠
佐藤翠さんは2023年1月28日から7月2日までポーラ美術館で開催されている「部屋のみる夢」展に夫の守山友一朗氏と共に素晴らしい作品を展示しています。
作家として何にインスピレーションを感じて製作するのか、アートとは佐藤さんにとってどのような存在かなど貴重なお話をたくさん伺うことが出来ました。
2023/02/22
Q. 佐藤さんは作品を作る時、何にインスピレーションを感じて、作品を生み出すことが多いんでしょうか。
A. 美しいと思ったものや、心を捉えて離さないものを見た時にインスピレーションになっているのですが、具体的には、クローゼットを描いているので、街中や美術館などで実際に見た装飾性の高いドレスや、花を見た時など、最近は自然からもインスピレーションを得るように変わってきました。花から始まり、空の色や、雲の形、日の光が変化してしていく様などにも興味を持つようになりました。
Q. 前回展覧会で割とちょっと空とドレスみたいなシュールな感じの作品もそういった影響が？
A. 空の色にまず興味を持ち始めました。捉えどころのない絶妙な色味や、留まることなく静かに変化し続ける様子を見ていると、それらを自分のものにしたいという欲求が出てきて、あのような作品に繋がっていきました。
Q. そういう感じでその作品を通して自らの思いを表現するっていうことだと思うんですけど、どういうことだと思いますか？
A. 何か特定の自分の思いやメッセージみたいなものをのせてというよりは、やはり画面作りが重要で、良い絵になるようにということを常に念頭に置いて描いています。
Q. そうして作品は作ってらっしゃると思うんですけども、制作するときに心がけてることみたいのはありますか。
A. 基本的には下書きやエスキースはしないで、直接絵の具でキャンバスに描いていきます。それは、描き始める前に大まかなイメージを持ってはいますが、詳細までは決め込まないで、画面に現れる絵の具の染みや垂れの現象なども拾いながら進めていくためです。自分自身に新鮮味を持たせることもできますし、ゴールを決めないで始めて、画面の中でやりとりをしながら作っていくというスタイルを心がけています。
Q.なんかその画面の様子を見ながら。
A.はい、少しずつ大まかな所から最後は細かい所まで、画面と対峙して描いていきます。
Q.作品制作にとって最も大切な要素っていうのはどういうことだと思っていらっしゃいますか？
A.もちろんモチーフ選びも大事なのですが、やはり色、構図、マチエールという絵画の構成が一番大切な要素だと思っています。
Q.絵画ならではの。
A.はい。
Q.まあそうやって作品を制作するわけですが、一番の楽しさってどこに感じてますか？
A.何も描いていないキャンバスを目の前にして、アクリルで最初にバーっと大きい仕事を始めていくことがほとんどなのですが、その筆を走らせる最初の瞬間というのは非常に気分が高まりますし、制作の楽しさを感じるところですね。
Q.以前公開制作を見せていただいた時に、最初絵の具を垂らして、割と抽象的なところから、だんだんこうディテールに行くみたいなやっぱり最初の部分は絵画の土台にもなってると思うしそこは楽しいわけですね。
A.はい。そうですね。
Q.今は空の色とかそういったものも入ってきてる。でもファッションとかドレス、靴なんかも引き続き描いたりすると思うんですけども、これからその試みたい表現とか作品の構想みたいなものが現在おありだったら教えていただけますか？
新たに描きたい作品の構想は常にありまして、それを「早く描きたい」気持ちでいます。また新たな支持体に描く挑戦を、今まさにしています。
Q.キャンバス以外にってことですか？
A.はい。その他にも新たな試みもしており、それはまた公開できる時に楽しみにしていただけたら嬉しいです。
（*現在ポーラ美術館で開催中の「部屋のみる夢―ボナールからティルマンス、現代の作家まで」にて公開中（2023年7月2日まで））
Q. 最後なんですけどもアートというのはどういう力を持っていると思いますか。
A.最近花にとても魅力を感じていて、夏など花が少ない季節でも、「部屋に花を早く飾りたいな」という思いで過ごしています。花が豊富な時期を待ち望んで、ようやく花を飾った時に、その一輪だけでもその場の空間や、景色さえもガラッと変えてしまうような場面を体験しました。それと同じような力がアートにもあるのではと思っています。
Q.部屋に飾ると雰囲気がガラッと変わったりとかですね。
A.そうですね。空間や景色さえも。また見る人の気持ちも変化させたり、そういう作用のの力があるのではと感じています。
ぜひそういう力のある絵画をこれからも制作してください。
今日はありがとうございました。