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アートは敷居が高いように感じる人もいるかもしれませんが、実は身近なものなのです。

今回はよりアートを身近に感じていただくため、現代アートのアーティストにインタビューを行いました。

ミレポルテmeetsアート 

アーティストインタビュー Vol.1
舘鼻則孝

日本人独自の美意識

記念すべき第一回の独占インタビューを受けていただいたのは、舘鼻則孝(たてはな のりたか)氏です。

舘鼻さんは1985年東京生まれ、絵画や彫刻を学んだのち、染織も専攻し花魁の装束について研究を行いました。そして、花魁の履く厚底の下駄をモチーフにした、かかとがない「ヒールレスシューズ」を制作。レディー・ガガが着用したことで世界的に話題になりました。

 

日本の文化への考え、アートが持つ力などについて聞きました。より舘鼻作品の魅力を知ることができる興味深いお話が満載です。
 

■舘鼻作品にあらわれる「日本人独自の美意識」

舘鼻さんの作品の大きな特徴は「日本の文化」をモチーフにしていること。

冒頭で紹介した花魁の高下駄から着想を得たヒールレスシューズが最も有名な作品です。

作品作りには“日本の独自の美意識”が影響を与えているそうです。

それはいったいどんな感覚なのでしょうか。

2023/02/14

Q. 舘鼻さんの作品は、日本の伝統的な美意識や物の見方を現代に転換する要素が大きいと思いますが、日本人独自の美意識をどのようにお考えでしょうか?

A.  難しい質問ですね。大学時代には日本の伝統文化や伝統工芸を学び、現在ではそのようなことからインスピレーションを得て国内外で作品を発表しています。

 

開国する以前の日本には、大陸から渡ってきた文化が長い年月の中で国内で独自の発展を遂げるまでに育まれたという過去がありました。一方で明治期以降には、外国から入ってきた文化に寛容であった日本人は、独自の視点で、それを拒まず非常にうまく「編集」してきたことで現代のライフスタイルがあるようにも思います。

 

仏教美術などを見ても、大陸から渡って来た文化が独自の発展を遂げ、現代まで継承されています。それは、国外の仏教美術とは似て非なるものであると感じています。

 

島国だったこともあり、日本からさらにどこかへ伝わることはなかったかもしれません。そういう意味では伝来した文化がそこで育まれて、独自のものになるという非常に稀有な条件が揃っていたのかもしれないです。

 

自分も創作を行う中で、いろんな文化が混ざり合っている現在の日本に着目しています。さまざまな視点からリサーチしていくと、元は日本の文化ではないものも、今では日本の独自性として認識されているのというものもたくさんあると思うんですよね。

 

だから一言で表すのは非常に難しいんですけど、ある特定の価値観であったり、風土だったりが好影響を与えていると思います。「入ってきたものが編集されて独自のものに発展していく」という流れが、ひとつの方程式のようなかたちで日本として存在していると非常に強く感じます。
 

舘鼻則孝のギャラリーの写真

■「Rethink」=日本文化の見直しから生まれる新しい発想

 

舘鼻さんが掲げるコンセプトのひとつが「Rethink(リシンク)」というものです。これは古くからの日本文化を見直して現代に表現することを表したものだそう。一体、どのようなプロセスを経て古き伝統を新たなアートに生まれ変わらせているのでしょう。

Q. 日本独自の文化のどこにインスピレーションを感じて、自分の作品を生み出してらっしゃるでしょうか?

A. 僕の場合は「Rethink」という言葉で表現しているのですが、過去の日本文化を見直すと現代でも魅力を感じる様々な芸術文化や価値観があります。今の時代にも継承されているものもたくさんあれば、途絶えてしまったものもあると思うんですよね。

 

過去の日本文化を見直したときに、現代を生きる人たちにも伝えるべき価値ある要素に焦点を当て、新しく表現するということが僕の中でのひとつの方程式になっています。

 

そのような過去の日本文化をいわば現代に「翻訳」するかたちで、今を生きる日本人も含め日本から国内外へ発信する。作品をコミュニケーションツールとして、言語を問わず発信するのが、僕の創作活動の根幹になっていると思います。

舘鼻則孝のギャラリーの写真

■さまざまな出会いの中で生まれる作品

 

舘鼻さんの作品には伝統的な素材だけではなく、新たな技法を使った素材なども使われており、より表現の幅を広げています。また、伝統、素材だけでなく、人との出会いも作品作りに大きな影響をあたえているようです。

Q. 日本の伝統的な技術や表現、素材、職人技などの関係性をどのようにお考えでしょうか?

A. 素材と技法と主題となる要素の文化的な背景、作品を作るうえでのビジョンを思い浮かべて頭の中に完成予想図を描きます。

 

僕にとってはいろんな手法がある中で、技法的な選択肢であったりとか、素材的な選択肢であったりするわけです。それが最終的に作品に仕上がるうえで、どのような掛け合わせになるかは非常に重要なところでもある。

 

さまざまな要素が掛け合わされて作品のビジュアルが完成されますが、鑑賞者の方々にはその背景にストーリーを感じてもらいたいと思っています。そのようなことからも、どのように化学反応が起きるかという視点で技法や素材などを選択することは、とても重要なことだと言えます。

 

作品がひとりで喋ってストーリーを語ってくれるわけではないので、素材と技法とその背景にある文化的な要素は、ある意味「三位一体」のようなところもある気がします。

 

作品制作の始まりにおいて、最初から何もかもが決まっているわけではないんです。例えばストーリーが先行して作品のインスピレーションを得る場合もあれば、伝統工芸士のように技術を持った職人さんとの出会いがあって、「この人と一緒に仕事したいな」という流れで作品が出来上がることもあります。

 

例えば音楽でいうと、作曲が先か? 作詞が先か? というのは人それぞれだと思うんです。それと同じように、作家として作品を作るうえではストーリーありきのこともあれば、素材や技法、職人ありきのこともある。

 

ストーリーがあったり、人との出会いがある中で作品が生まれるということは、僕にとっては作家冥利に尽きるとても楽しい瞬間です。

■「表現」はコミュニケーションの手段。作品はコミュニケーションツール

様々な手法で作品作りをする舘鼻さん。立体、絵画、染め物など、幅広い表現が魅力のひとつとなっていますが、彼にとっての「表現」とは何なのか聞いてみました。

Q. 舘鼻さんにとって「表現をする」とはどういうことでしょうか?

A.そうですね、簡単には答えられない永遠のテーマな気もしますけど、やっぱり作家にとって表現とはコミュニケーションの手段だと思います。

 

生み出された作品はコミュニケーションツールだと思うんですよ。例えばそれが、日本語じゃなくちゃいけない、英語じゃなくちゃいけないなど、言語には関係ない。作品が発するメッセージを鑑賞者の方が受け取ってもらえるような状況を、しっかりと作り出すことが重要です。

 

「表現」とはシンプルなコミュニケーション。作家でないとできないことではなくて、普段から皆さんが行っていることも、「表現」の延長線上にある気がします。

Q.作品作りをするうえで、特に心がけていることはどんなことでしょうか?

A. 僕の場合は、普段からチームで動くことが多いんです。ヒールレスシューズのような作品であれば、自分の手だけでひとりで完成させることも可能ですが、制作やプロジェクト自体を共有することはビジョンを共有することでもあるんです。

 

最小単位で言うと1点の作品制作になりますが、大きな単位では展覧会など1年を通して制作することもあります。そのようにプロジェクトベースで動いたときに、自分のチームの中からそのプロジェクトに相応しいプロフェッショナルなスキルを持ったスタッフや協力してくれるパートナー企業と一緒に創作に挑みます。最終的には私の名前で世に出る作品やプロジェクトも、そういう方々のおかげで成り立っていると思っています。

 

だからこそ、素材や技法、出会いやストーリーを大切にする。人との関わりあいで成り立っているのが舘鼻則孝という作家像だと僕自身は思っています。

■作品制作をするときに特に心がけていること

 

さまざまな作品を制作し、展覧会やプロジェクトまで手掛ける舘鼻さんですが、そうしたときに意識していること、大切にしていることを伺いました。

Q.作品制作している中での、楽しい身、楽しさはどこにありますか?

A. 僕の場合、一番楽しいのは生み出す瞬間です。外から感じられる見え方とはちょっとギャップあるかもしれないですが、実際に手を動かすところは、正直に言うと特別楽しいわけじゃないんです。なぜかと言うと、そこにはクリエイティビティがあるわけではなくて、実際には単純な作業なんです。

 

どのような作品を生み出すか、というステップが一番クリエイティビティの発揮される部分でもありますし、一番楽しいところです。実際にフィジカルなものを生み出しているわけではないんですが、頭の中でさまざまなビジョンを思い浮かべて完成させていく、それがやっぱり一番楽しい瞬間なのかなと個人的には思います。

■作品が生み出される瞬間の「クリエイティビティ」が楽しい

 

アーティストの作品への向かい方は人によりそれぞれ。舘鼻さんはどんなところに楽しみを見出しているかにせまります。

Q.やっぱりアーティストとしてクリエイティビティを感じられるところが一番楽しい?

A. 自分の頭の中の発想の引き出しに触れるということもあれば、新たにインプットする場面でもあるので、そのインプットをアウトプットすることで実際に作品が生まれるわけです。シンプルなプロセスの中でも、机に向かって頭を使う時間、手を動かして実際に作業する時間は、はっきりわかれている気がします。

Q.これからまた新たに試みたい表現や作品の構想があれば教えていただけますか。?

A. プロジェクトをベースにして動くときや、展覧会を開催するうえでも必ずテーマを決めますよね。例えば過去に開催した「舘鼻則孝と香りの日本文化」という展覧会では、日本の香文化にフォーカスしたことがありました。

 

もともと僕自身が日本の香りの文化に知識があったり、造詣が深くてそのテーマを選んでいるというわけではないです。展覧会に来てくださる鑑賞者の方と同じ目線で、本当に最初はゼロスタートなんです。

 

そこから展覧会を構築する作品制作の過程の中で、僕自身も学んでそれを作品としてアウトプットするわけです。僕の中ではそれらの工程が非常に重要で楽しいところでもあります。この展覧会を開催した時には、京都の香老舗「松栄堂」にご協力いただき、主人である畑正高さんにいろいろなお話を伺って作品制作をしました。

 

新しいテーマを決めて、自分がそのゼロ地点に立ったときに、どういう道筋でゴールを迎えられるかというビジョンを持って普段から楽しんで制作をしています。そのような意味でもどんどん新しいテーマを取り込んで発信できるといいなと思っています。

■ゼロ地点からのスタートを楽しみたい

 

伝統的なモチーフを再解釈し、アートに昇華された新しい表現をする舘鼻さん。日々新たな試みをするなかで、今後どのような表現、作品の構想を考えているのかを聞きました。

舘鼻則孝の作品の写真
舘鼻則孝の作品の写真

Q.アートはどういう力を持っていると思いますか。?

A. 僕自身も作家という立場からアートの力を感じることがあります。僕の代表作であるヒールレスシューズは、世界中にコレクションしてくださっている方々がいて、そのような視点で考えると言語や人種、宗教などの歴史的な背景は隔たりにはならないと思うんです。作品を通じて世界中のさまざまな人たちと繋がることができました。

僕は、2010年に大学を卒業して、社会に出て作家としてのキャリアをスタートしたときには、ほとんど英語も喋れませんでした。そういう中でも僕自身が作品を作って、それを受け取ってくれる人がいて、そうやって作品があったからこその出会いをたくさん経験してきました。

 

作品がなかったら何をきっかけに喋ったらいいかもわからないし、実際に言葉を操るという意味でのスキルもなかったです。そんな僕でも、お客さんはとても応援してくれました。今でもパトロンのようにサポートしてくださるお客さんもいて、そういう意味では本当に作品とその出会いに救われたところがあるんですよね。

 

実際に海外には、僕の靴を毎日のように履いてくださっているダフネ・ギネスさんというお客さんがいらっしゃいます。ダフネさんは、いつも「僕の靴が無いと生きていけない」と言ってくださるんです。彼女にとっては冗談のような話ではなくて、ヒールレスシューズがモチベーションツールでもあり、実際に彼女自身のアイコンとしても世界中から認知されているからこそ出てくる言葉なんです。僕自身、作品を通して彼女と親しくなったということもありますが、アートを通してお互い支え合っていると本当に感じています。

 

アートには、シンプルに美しいものをめでるという用途もあれば、人の気持ちを救うと言うと大げさに聞こえてしまいますが、その人の人生の一部になれることもあるのかなって思っています。

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■アートが持つ力でそのひとの人生の一部になりたい

 

作品を通じて救われたこともあったという舘鼻さん。最後にそんな「アートの力」についてお聞きしました。作品を生活に加えることでアーティストの人生と自分の人生が重なる。そして時に支えあう。そんなアートの力をあなたも感じられるかもしれません。

日本の伝統文化、伝統工芸の技法を取り入れた作品には、歴史や思想までが体現され、現代アートとの見事な調和をみせています。

モダンな印象を与えながらも日本文化へのリスペクトが感じられる作品は、その空間を彩るだけでなく、見るものにもさまざまな考えを抱かせてくれます。

 

そんな唯一無二の作品を暮らしの中に取り入れることで、あなたの生活にも新しい風が吹き込むことでしょう。

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